国の圧力で職住分離の原則を投げ捨てたか!

これまでの滋賀の障害者福祉に逆行

▼近江八幡市において、約2億円の国・県の補助金を受けて、岡山県の社会福祉法人「三穂の園」がグループホームと通所施設を同時に整備する問題について9月議会でとりあげました。これは、障害者の施設における働く場と住まいの場を分ける職住分離の原則を滋賀県が自らぶち壊すものです。当該案件については、公募の前から同法人に決まっていた不公正を2月議会で取り上げました。
▼滋賀県はこれまで職住分離の原則を重視し、一度も同じ敷地内での通所施設とグループホームの整備を認めてきませんでした。それを今回なぜ方針転換して認めたのか…そこには近江八幡市の要請による国の圧力が介在していたと思われます。2016年7月に当時の近江八幡市長が加藤厚生労働大臣面会し、「県との交渉が難航している」「同一敷地内の既存の建物で居住と就労を一緒にできるようにお願いしたい」と滋賀県の姿勢を変えることを要望。大臣はそれに前向きの発言をしました。「三穂の園」は加藤大臣の地元の社会福祉法人です。こんなやり方で糸賀一雄氏以来の「障害者福祉の先進」とされてきた滋賀県の福祉行政が歪められていいのでしょうか。
▼知事は「住まいの場であるグループホームと通所事業所を同一敷地内に整備することは、施設の指定基準においては禁じられておらず、基準を満たしていれば、県として認めることが求められる」と答弁しました。これは障害者権利条約に照らして、明らかにに誤りです。「障害者は、人間としての尊厳が尊重される権利を有している」「障害者は、その家族または里親とともに生活し、すべての社会的・創造的活動に参加する権利を有する。もし、障害者が施設に入所する場合でも、そこでの環境や生活状態は、同年齢の人の普通の生活にできるだけ似通ったものであるべきである」…これが障害者権利条約の精神であり、障害の程度や種別にかかわりなく、「他の市民と同じ生活条件」を保障する…ここに職住分離の根拠があります。
▼この案件は、①国の圧力で、これまでの県が守ってきた原則を変えてしまうこと②障害者権利条約に反すること③滋賀の障害者福祉に取り組んでいる人々の努力に水を差す時代逆行であるという重大問題です。おそらく県議会の日本共産党以外の会派は、当初予算と同様に補正予算にも賛成するでしょう。しかし、こんな県政の歪み、それを正せない県議会でいいのでしょうか。県民の厳しい監視と批判が必要です。

2018年10月05日