県行政チェックの役割放棄の監査委員

 2024年滋賀国体の主会場整備の用地拡張で、県費でおこなわれた土地改良農地を県が買収していることについて、税金の二重支出であるとして住民監査請求を本年9月5日に行いました。これについて11月2日、監査委員より「住民監査請求に係る監査結果」(以下「監査結果」という)が送付されてきました。

 「監査結果」は17ページに及ぶものですが、大半は私たちの請求内容と県当局の言い分をそのまま記載しており、監査の「判断」はわずかに2ページ余にすぎません。しかも、その中身は、用地買収について「買収は合理性を欠いていない」、「取得価格は妥当」、「会計上の手続きは適正」としています。彦根北部土地改良区への支出は行為の日から1年が経過し、同改良区の土地改良事業は監査請求の対象とならないなどとし、「用地買収費の返還請求は理由がないから棄却する」と結論づけています。

 「監査結果」は、私たちが監査請求で求めた、同一農地への土地改良費と買収費の税金の二重支出という問題の核心を正面から監査していない全く不誠実なものです。県庁内の部局間の連携を全く欠いていることの指摘についても沈黙し、「土地改良を行ったことによる取得価格への影響が認められる」としながら、「妥当性を欠くとする理由はない」と矛盾した記述をするなど、論理性を欠くあまりにもお粗末な内容です。

 監査委員は本来、県行政の公正と能率を確保するため、県の財務に関する事務の執行について、支出は適切になされているか等について、県の行政を監査する独立の機関のはずです。今回の「監査結果」は、「県の行政を監査する独立の機関」という職務を放棄し、県行政に従属している監査委員の実態を示しています。強く抗議するとともに、今後も、道理がどこにあるのかを明らかにするために努力していくものです。

2018年11月02日