PFI方式の新県立体育館整備は問題

 新県立体育館の整備をPFI方式でおこなうことに係る補正予算と条例改正が9月議会で提案されました。この議案に反対したのは日本共産党県議団だけでした。
PFI事業とは公共施設などの建設、維持管理、運営などを民間の資金や経営能力を活用して推進するものです。その本質は、大企業・金融機関・ゼネコンに新事業をつくり出すために、従来の公共分野の仕事を広く民間に明け渡すところにあります。民間事業者は利益をあげることが最優先であり、他方、公共施設は広い意味での「住民の福祉」のためのものです。ここに、公共施設をPFIで整備することの本質的矛盾があり、ここから以下の諸問題が懸念されます。①事業者破たんのリスク②事故等の損失の負担の問題③経費節減は不確か④長期契約による膨大な利権をめぐる行政と民間事業者との癒着⑤下請けが安さを競わされ、頻繁な交代や担い手の非正規化。
 PFIの失敗事例として福岡市の「タラソ福岡」・北九州市の「ひびきコンテナターミナル」・名古屋市の「名古屋港のイタリア村」などの経営破綻、仙台市の「スポパーク松森」の天井崩落事故、近江八幡医療センター・高知医療センターの契約解除などが有名です。PFI事業が破たんすれば、住民に大きな損害をもたらします。
 新県立体育館整備にPFI方式を採用する理由は、県が直接実施した場合と比較して7.9%、約7億5千万円財政負担が軽減できるというものです。しかし、設計・管理費、工事費、備品費、運営・維持管理費、長期修繕費が10%削減できるとしていますが、その根拠は内閣府のPFI導入可能性調査における平均費用削減率が約10%だからという、非常にいい加減なものです。国の交付金が活用できないことや民間事業者の法人税負担などのデメリットもありますこのような不確かなPFI事業を議会が安易に認めれば、将来その責任が問われます。
 そもそも、新県立体育館整備の経費削減をPFIに求めるとしていますが、経費削減をいうなら、約60億円で整備できるのに95憶円もかけなければならない建設予定地を変更することを考えるべきでしょう。PFIは大手ゼネコン中心で地元業者の参入が困難なため、事業を通じた地域経済振興策としても効果が期待できません。
PFI方式による新県立体育館整備、財政危機を招く数百億円の国体費用、彦根総合運動場のほぼ全ての施設解体など、県の国体施設整備の進め方は問題だらけです。一度立ち止まって、県民本位に見直すべきではないでしょうか。

2017年11月02日